遺言・相続・後見・死後事務委任契約

遺言・相続・後見

高齢の親の財産について、遺言は聞いたことがあるけれど、何から手をつけたらいいのかわからない、という方は多いでしょう。
他にも、財産を次世代につないだり、
人生の締めくくりの不安を解消する方法として次のようなものがあります。

  1. 遺言
  2. 死後事務委任
  3. 任意後見と法定後見
  4. 家族信託

ポイントはどれも、考える元気があるうちに始める、ということです。   

認知症が進んだり、意識は不明になったりすると、できなくなることがほとんどなのです。

死後事務委任契約

本人がなくなった後に発生する相続以外の事務処理等を信頼できる人に任せる契約。

知っていますか?
自分がこの世を去ったあとにこまごまとした事務処理等が残ることを...

具体的な事務処理等

●親族、知人等、関係者への連絡に関する事務
●通夜、告別式、火葬に関する事務
●納骨、永代供養に関する事務
●介護施設や入院していた病院の費用の支払いに関する事務
●遺品整理に関する事務
●電気・ガス・水道・電話等の停止、各種契約の解約に関する事務
●健康保険証の返還、税金の未納があった場合の納税等に関する事務

身寄りがや親類がいなくても、この死後事務委任契約を結ぶことで不安を減らすことが
できます。
また、実際に自分が亡くなった後、身寄りや親類が自分の思っているとおりに
動いてくれるかはわかりません。
生前に、この契約を結ぶときに何をどこまで行ってもらうのか、
明らかにできるので安心につながることになります。

士業と呼ばれる専門家であれば、抜け漏れがなく死後の事務処理を進められます。

自分に万が一のことがあった場合、
事後処理を頼めそうな人の顔が浮かびましたか?

任意後見契約

任意後見契約とは

将来、認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、自分の後見人(任意後見人)になってもらうことを委任する契約です。

自分が元気なうちに信頼できる人を見つけて、その人との間でもし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合等には、自分に代わって、財産管理や必要な契約締結等をしてくださいとお願いしてこれを引き受けてもらう契約が、任意後見契約です。
任意後見契約は、将来の老いの不安に備えた「老い支度」ないしは「老後の安心設計」といえます。

なぜ必要?

もし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合等には、成年後見の制度により裁判所に後見人を選任してもらうこともできます。
しかし、裁判所が後見開始の審判をするためには、一定の者(配偶者や親族等)の請求が必要です。
また、法定後見では、本人は裁判所が選任する後見人と面識がないこともありえます。
自分が信頼する人に確実に後見人になってもらうためには、任意後見契約を締結することが必要になります。

任意後見人の基本的な仕事

・本人の財産をきちんと管理してあげるとともに、介護や生活面のバックアップをしてあげることです。なお、任意後見人の仕事は、自分でおむつを替えたり、掃除をしたりという事実行為をすることではなく、あくまで介護や生活面の手配をしてあげること。
・介護や生活面の手配等を行うことです。要介護認定の申請等に関する諸手続、介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院の手続、入院費用の支払い、生活費を届けたり送金したりする行為、老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結する行為等々。
また、任意後見業務と同時に死後事務も委任することで、自分が亡くなった後に発生する相続以外の事務処理等を信頼できる人に任せることを契約し、不安を少なくすることもできます。(詳しくは、死後事務委任契約へ)

認知症等による判断能力が低下しないまま大往生を遂げる人もいます。
その場合には、任意後見契約は必要なかったことになり、任意後見契約書の作成費用は無駄になってしまうわけですが、それは、任意後見契約によって得られる老後の安心を考えると決して無駄と言い切れないでしょう。
まさに、備えあれば憂いなし。